尿管結石は、突然の激しい痛みで始まることが多く、経験した方にとって忘れられない辛い症状をもたらす疾患です。「七転八倒の痛み」と表現されるほどの強烈な痛みが特徴的で、救急外来を受診される原因としても頻度の高い病気の一つです。
現代の食生活や生活習慣の変化により、尿管結石の患者さんは年々増加傾向にあります。働き盛りの男性に多くみられる傾向がありますが、女性や高齢者にも決して珍しくない疾患です。この記事では、尿管結石の原因、症状、診断方法、治療について詳しく解説し、当クリニックでの対応についてもご紹介します。
結石の形成と種類
尿管結石は、腎臓で作られた結石が尿管に落下し、尿の流れを妨げることで様々な症状を引き起こす疾患です。結石の成分により、カルシウム結石、尿酸結石、シスチン結石などに分類されます。
日本人に最も多いのはカルシウム結石で、全体の約80%を占めています。次に多いのが尿酸結石で、食生活の欧米化に伴い増加傾向にあります。結石の成分により治療方針や予防法が異なるため、正確な診断が重要です。
発症しやすい条件
尿管結石は30代から50代の男性に多くみられ、女性の約3倍の発症率とされています。これは男性ホルモンの影響や、職業上の水分不足、食生活の違いなどが関係していると考えられています。
夏場の発症が多いのも特徴の一つで、発汗により体内の水分が不足し、尿が濃縮されることで結石が形成されやすくなります。また、遺伝的素因も関係しており、家族に結石の既往がある方は注意が必要です。
症状について
典型的な痛みの特徴
尿管結石の最も特徴的な症状は、突然始まる激烈な腰背部痛です。この痛みは「疝痛発作」と呼ばれ、波のように強くなったり弱くなったりを繰り返します。痛みの程度は個人差がありますが、多くの患者さんが経験したことのない強い痛みと表現されます。
痛みは腰やわき腹から始まり、下腹部や外陰部にまで放散することがあります。男性では精巣部、女性では外陰部に痛みが広がることも多く、泌尿器科以外の疾患と間違われることもあります。
随伴症状
激しい痛みに伴い、吐き気や嘔吐を起こすことが多くあります。これは痛みの強さによる反射的な症状で、水分摂取が困難になることもあります。
血尿も重要な症状の一つで、肉眼的血尿として確認できる場合もあれば、検尿でのみ発見される顕微鏡的血尿の場合もあります。また、頻尿や排尿時痛、残尿感などの排尿症状を伴うこともあります。
発症のタイミング
尿管結石の症状は、結石が尿管の狭い部分に嵌頓した時に突然現れます。特に夜間から早朝にかけての発症が多く、これは夜間の水分不足や体位の変化が関係していると考えられています。
運動後や長時間の移動後に発症することも多く、体の動きにより結石が移動することが誘因となります。また、アルコール摂取後に発症するケースもよくみられます。
診断方法について
問診と身体診察
尿管結石の診断は、特徴的な症状の聞き取りから始まります。痛みの部位、性質、発症の経過、随伴症状などを詳しくお聞きし、結石による疝痛発作の可能性を評価します。
身体診察では、腰背部の叩打痛の確認や腹部の触診を行います。結石による尿管の閉塞により、腎臓が腫れている場合もあり、慎重な診察が必要です。
尿検査
尿検査は尿管結石の診断において重要な検査です。血尿の有無を確認するとともに、尿中の結晶成分や細菌の存在を調べます。また、尿のpHや比重も結石の種類を推定する手がかりとなります。
ただし、血尿が認められない場合でも尿管結石の可能性は否定できないため、他の検査と総合的に判断することが重要です。
画像検査
CT検査は尿管結石の診断において最も有用な検査です。造影剤を使用しない単純CTでも結石の描出が可能で、結石の大きさ、位置、数を正確に把握することができます。
超音波検査では結石そのものの描出は困難ですが、腎臓の腫れ(水腎症)を確認することで、尿管の閉塞状態を評価できます。また、妊婦さんや腎機能低下のある方でも安全に施行できる利点があります。
必要に応じてIVP(静脈性腎盂造影)やMRU(MR尿路造影)なども実施し、より詳細な評価を行うことがあります。
治療方法について
保存的治療
直径5mm以下の小さな結石では、自然排石が期待できるため、まず保存的治療を試みます。十分な水分摂取により尿量を増加させ、結石の排出を促進します。1日2リットル以上の水分摂取が推奨されます。
痛みに対しては、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や鎮痙薬を使用し、症状の緩和を図ります。α遮断薬の投与により尿管の平滑筋を弛緩させ、結石の排出を促進する治療も行われます。
体外衝撃波砕石術(ESWL)
保存的治療で改善しない場合や、結石が大きい場合は、体外衝撃波砕石術が選択されます。体外から衝撃波を結石に集中させ、結石を細かく砕いて自然排出を促す治療法です。
外来での治療が可能で、体への負担が少ないのが利点です。ただし、結石の成分や位置により効果に差があり、複数回の治療が必要になることもあります。
内視鏡的治療
尿管鏡を用いた内視鏡的治療も重要な選択肢の一つです。細い内視鏡を尿道から挿入し、直接結石を確認してレーザーで砕石したり、バスケットで摘出したりします。
確実性が高く、大きな結石や硬い結石にも対応可能ですが、入院が必要になることが多い治療法です。
外科的治療
非常に大きな結石や、他の治療法が無効な場合は、開腹手術や腹腔鏡手術が検討されます。現在では低侵襲な治療法が普及しているため、外科的治療が必要になることは稀です。
予防について
水分摂取の重要性

尿管結石の予防で最も重要なのは、十分な水分摂取です。尿量を多く保つことで、結石の原因となる物質の濃度を下げ、結石の形成を予防できます。1日2リットル以上の水分摂取を心がけましょう。
特に夏場や運動時、アルコール摂取時は発汗により体内の水分が失われやすいため、意識的な水分補給が必要です。就寝前の水分摂取も、夜間の尿濃縮を防ぐために効果的です。
食生活の改善
バランスの取れた食事も結石予防に重要です。動物性蛋白質の過剰摂取は尿酸結石のリスクを高めるため、適量を心がけます。一方、カルシウムの制限は逆効果となることが多く、適度な摂取が推奨されます。
塩分の過剰摂取は尿中カルシウムの増加を招くため、減塩を心がけることも大切です。また、シュウ酸を多く含む食品(ほうれん草、紅茶、チョコレートなど)の過剰摂取も避けるべきです。
生活習慣の改善
規則正しい生活リズムと適度な運動も結石予防に効果的です。長時間の座位や運動不足は結石形成のリスクを高めるため、定期的な運動を心がけましょう。
ストレスの軽減も重要で、十分な睡眠と休息を取ることで、体の代謝バランスを整えることができます。
当院での対応
診断と緊急度評価

当院では、尿管結石が疑われる患者さんに対して、迅速かつ正確な診断を行います。症状の詳細な聞き取りと身体診察により、緊急度を適切に評価いたします。
尿検査や超音波検査により初期評価を行い、必要に応じてCT検査などの精密検査を手配いたします。重篤な合併症の可能性がある場合は、専門医療機関への紹介も迅速に行います。
治療とサポート
症状や結石の大きさに応じて、最適な治療方針をご提案いたします。保存的治療が適応となる場合は、適切な薬物療法と生活指導を行います。
痛みのコントロールに重点を置き、患者さんの苦痛を最小限に抑えるよう努めます。また、治療期間中の経過観察も丁寧に行い、症状の変化に応じて治療方針を調整いたします。
予防指導と長期管理
尿管結石は再発しやすい疾患であるため、予防指導にも力を入れています。個々の患者さんの生活スタイルに合わせた具体的な予防策をお伝えし、再発防止に努めます。
定期的な経過観察により、新たな結石の形成を早期に発見し、症状が出現する前に対処することも可能です。
まとめ
尿管結石は激しい痛みを伴う疾患ですが、適切な診断と治療により症状の改善が期待できます。また、生活習慣の改善により予防も可能な疾患です。突然の激しい腰背部痛、血尿、吐き気などの症状がみられた場合は、尿管結石の可能性を考慮して早めに当院にご相談ください。当院では、尿管結石の診断から治療、予防まで総合的にサポートいたします。患者さんの症状改善と再発防止のため、適切な医療を提供いたします。