痛風

痛風は、足の親指の付け根などの関節に突然激しい痛みが起こる病気で、「風が吹いても痛い」と表現されるほどの強烈な痛みが特徴です。中年男性に多くみられる疾患として知られていますが、近年では食生活の変化により女性や若い世代にも増加傾向がみられます。

血液中の尿酸値が高い状態が続くことで発症し、生活習慣病の一つとして位置づけられています。適切な治療と生活習慣の改善により症状をコントロールできる疾患ですが、放置すると関節の変形や腎機能障害などの深刻な合併症を引き起こすこともあります。この記事では、痛風の原因、症状、診断方法、治療について詳しく解説し、当クリニックでの対応についてもご紹介します。

痛風とは

尿酸と痛風の関係

痛風は、血液中の尿酸濃度が異常に高くなる高尿酸血症が長期間続くことで発症します。尿酸は細胞の新陳代謝によって生じる老廃物で、通常は腎臓から尿として排出されます。しかし、尿酸の産生過剰や排出低下により血中濃度が上昇すると、関節内で尿酸塩結晶として沈着します。

この尿酸塩結晶に対して免疫系が過剰に反応することで、激しい炎症反応が起こり、痛風発作として症状が現れます。血清尿酸値が7.0mg/dLを超えると高尿酸血症と診断され、この状態が続くほど痛風発作のリスクが高まります。

発症しやすい人の特徴

痛風は圧倒的に男性に多く、男女比は約20対1とされています。これは女性ホルモンに尿酸の排泄を促進する作用があるためで、閉経後の女性では発症リスクが高まります。

年齢的には30代から50代の働き盛りの男性に多くみられ、食生活の欧米化、アルコール摂取量の増加、運動不足、ストレスなどが発症に関与しています。家族歴がある方も遺伝的要因により発症しやすい傾向があります。

症状について

痛風発作の特徴

痛風発作は突然始まることが多く、多くの場合、就寝時に脱水症状が起きやすく、尿酸値が上昇するため、夜間から早朝にかけて発症します。最も典型的なのは足の親指の付け根(第一中足趾節関節)の激痛で、全体の約7割を占めます。

痛みは激烈で、患者さんは「今まで経験したことのない痛み」と表現されることが多くあります。患部は赤く腫れ上がり、熱感を伴います。軽く触れただけでも激痛が走るため、歩行が困難になることもあります。

発作の経過と部位

痛風発作は通常、治療を行わなくても1週間から10日程度で自然に軽快します。しかし、発作を繰り返すうちに症状が長期化し、複数の関節に同時に症状が現れることもあります。

足首、膝、手首、肘などの関節にも発作が起こることがあり、時には複数の関節が同時に侵されることもあります。発作の間隔は個人差がありますが、治療を行わないと徐々に短くなる傾向があります。

慢性期の症状

適切な治療を受けずに高尿酸血症が続くと、関節内に持続的な炎症が起こり、慢性関節炎の状態となります。この段階では激しい痛みは軽減しますが、関節の変形や機能障害が進行します。

また、皮下や関節周囲に尿酸塩結晶が沈着して痛風結節と呼ばれる塊を形成することがあります。これらは耳介、肘、膝などによくみられ、徐々に大きくなることがあります。

診断について

臨床診断

痛風の診断は、特徴的な症状と血液検査による尿酸値の測定により行われます。典型的な部位に突発的な激痛が起こり、血清尿酸値が高い場合は痛風を強く疑います。

ただし、痛風発作中は一時的に尿酸値が低下することがあるため、発作が治まってから再検査を行うことが重要です。また、尿酸値が正常でも痛風発作を起こすことがあるため、総合的な判断が必要です。

関節液検査

膝関節などの痛風発作の場合、確定診断のためには、関節液中の尿酸塩結晶の確認が最も確実な方法です。関節穿刺により採取した関節液を偏光顕微鏡で観察し、特徴的な針状の尿酸塩結晶を確認します。

ただし、この検査は技術的に難しく、すべての医療機関で実施できるわけではありません。臨床症状と血液検査により診断されることが一般的です。

画像検査

単純レントゲン検査では、初期の痛風では異常がみられないことが多いですが、慢性期には関節の変形や骨の破壊像がみられることがあります。

超音波検査では関節内の尿酸塩沈着をある程度評価することができ、診断の補助として有用です。CT検査やMRI検査が必要になることもあります。

治療について

急性期の治療

痛風発作が起こった際は、まず炎症と痛みを抑えることが最優先となります。非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が第一選択薬として使用され、インドメタシンやナプロキセンなどが効果的です。

コルヒチンという特効薬もあり、発作の初期に使用すると著明な効果が期待できます。ただし、副作用として下痢や嘔吐を起こすことがあるため、慎重な使用が必要です。

発作中は患部を安静にし、氷嚢などで冷却することも症状の軽減に有効です。一方、マッサージや温熱療法は炎症を悪化させるため避けるべきです。

慢性期の治療

痛風発作が治まった後は、血清尿酸値を目標値まで下げる治療を開始します。一般的には6.0mg/dL未満を目標とし、痛風結節がある場合はより厳格な管理が必要です。

尿酸降下薬には、尿酸の産生を抑制するアロプリノールやフェブキソスタット、尿酸の排泄を促進するベンズブロマロンなどがあります。患者さんの病態に応じて適切な薬剤を選択します。

薬物治療開始初期は、かえって痛風発作を誘発することがあるため、少量のコルヒチンを併用することもあります。

生活習慣の改善

薬物治療と並行して、生活習慣の改善も重要な治療の柱となります。食事療法では、プリン体の多い食品の制限、アルコール摂取量の減少、水分摂取の増加などが推奨されます。

プリン体を多く含む食品には、レバー、腎臓、魚卵、干し椎茸、煮干しなどがあります。ビールはプリン体含有量が多く、特に注意が必要です。一方、適度な有酸素運動は尿酸値の改善に効果的です。

合併症について

腎機能への影響

高尿酸血症が長期間続くと、腎臓に尿酸塩が沈着し、慢性腎臓病の原因となることがあります。また、尿路に尿酸結石を形成し、腎結石や尿管結石を引き起こすこともあります。

定期的な腎機能検査により、早期に腎障害を発見し、適切な治療を行うことが重要です。十分な水分摂取により尿量を増加させることも、腎機能保護に効果的です。

心血管疾患との関連

痛風患者さんは、高血圧、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病を合併することが多く、心血管疾患のリスクが高いことが知られています。

これらの疾患の管理も痛風治療の重要な要素であり、総合的な生活習慣病管理が必要です。

当院での対応

迅速な診断と治療

当院では、痛風が疑われる患者さんに対して、迅速かつ正確な診断を行います。特徴的な症状と血液検査により、速やかに診断し、適切な治療を開始いたします。

急性発作に対しては、効果的な抗炎症薬による治療を行い、患者さんの苦痛を最小限に抑えるよう努めます。また、発作の再発予防についても詳しくご説明いたします。

長期管理とサポート

痛風は継続的な管理が必要な疾患であるため、定期的な経過観察と血液検査により、尿酸値や腎機能の変化を監視いたします。

薬物治療の効果と副作用を慎重に評価し、必要に応じて治療方針の調整を行います。患者さんの生活スタイルに合わせた実践的な生活指導も提供いたします。

生活習慣指導

個々の患者さんの食生活や運動習慣を詳しくお聞きし、具体的で実行可能な改善策をご提案いたします。食事内容の見直しや適切な運動方法について、専門的なアドバイスを提供いたします。

また、他の生活習慣病の合併がある場合は、総合的な管理を行い、全身の健康状態の改善を目指します。

まとめ

痛風は適切な治療と生活習慣の改善により、症状をよくコントロールできる疾患です。しかし、放置すると関節の変形や腎機能障害などの重篤な合併症を引き起こす可能性があります。足の親指の付け根などに突然の激痛が起こった場合や、健康診断で尿酸値の異常を指摘された場合は、早めに当院にご相談ください。当院では、痛風の診断から治療、長期管理まで総合的にサポートいたします。患者さんの症状改善と合併症予防のため、適切な医療を提供いたします。

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