下痢とは便が水分を多く含み、通常よりも軟らかく、水様になった状態のことです。排便の回数が増えることも特徴の一つです。健康な方でもさまざまな原因によって一時的に下痢を経験することがありますが、長期間続く場合は何らかの疾患のサインかもしれません。このページでは、下痢の主な原因や症状の特徴、当院を受診する目安などについてご紹介します。
下痢の主な原因
下痢はさまざまな原因で起こります。主な原因は以下です。
急性下痢の原因
- ウイルス感染(ノロウイルス、ロタウイルスなど)
- 細菌感染(サルモネラ菌、大腸菌など)
- 食中毒
- 食物アレルギーや食物不耐症
- 薬剤の副作用
- ストレスや緊張
- 過食や暴飲暴食
- 旅行者下痢症(海外旅行時など環境変化による)
慢性下痢の原因
- 過敏性腸症候群(IBS)
- 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病など)
- 腸の吸収障害
- セリアック病(グルテン不耐症)
- 乳糖不耐症
- 機能性下痢
- 甲状腺機能亢進症
- 悪性腫瘍
- 慢性膵炎
下痢の種類と特徴

下痢はその性状や持続期間によって、以下のようないくつかのタイプに分類されます。
性状による分類
- 水様性下痢:水のように液状の便。ウイルス性胃腸炎や中毒性の原因に多い
- 粘液性下痢:粘液が混じった便。炎症性腸疾患や過敏性腸症候群に多い
- 脂肪性下痢:油が浮いたような便。膵臓の疾患や脂肪の吸収障害に多い
- 血便:血液が混じった便。腸の炎症や腫瘍、感染症などに見られる(早急な受診が必要)
期間による分類
- 急性下痢:2週間以内に収まる下痢。多くの場合は感染症が原因
- 持続性下痢:2〜4週間続く下痢
- 慢性下痢:4週間以上続く下痢。慢性疾患が原因であることが多い
受診の目安
下痢は多くの場合、数日で自然に改善しますが、以下のような症状がある場合は当院への受診をおすすめします。
早急に受診すべき症状
- 血便がある
- 38℃以上の高熱を伴う
- 激しい腹痛がある
- 脱水症状がある(強い喉の渇き、めまい、尿量減少、皮膚の弾力性低下など)
- 下痢が3日以上続いている
- 嘔吐を伴い、水分が摂れない
- 黒色便(タール便)が出る
- 急な体重減少がある
特に注意が必要な方
- 乳幼児
- 高齢者
- 免疫不全のある方
- 慢性疾患(糖尿病、心臓病、腎臓病など)をお持ちの方
- 妊婦の方
当院では、患者さんの症状や状態に合わせた診療を行っています。感染防止対策にも配慮しながら、安心して受診いただける環境を整えています。
当院での下痢の診療について

当院では、下痢の原因を詳しく調査し、適切な治療を提供しています。
診療の流れ
- 問診と診察:症状の経過、食事内容、渡航歴、服用中の薬などを詳しくお聞きし、身体診察を行います。
- 必要に応じた検査:症状や診察所見に応じて、以下のような検査を行うことがあります。
- 便検査(細菌培養、潜血反応など)
- 血液検査
- 腹部超音波検査
- 内視鏡検査(症状が長引く場合など)
- その他必要に応じた検査
- 診断と治療方針の説明:検査結果と診察所見に基づいた診断と治療方針をわかりやすくご説明します。
- 治療:原因に応じた適切な治療を行います。
主な治療法
下痢の原因や重症度に応じて、以下のような治療を行います。
- 脱水の改善
- 経口補水療法(経口補水液の摂取)
- 点滴による水分・電解質の補給(脱水が重度の場合)
- 薬物療法
- 整腸剤(腸内環境を整える薬)
- 止痢薬(下痢を抑える薬)
- 消化酵素薬(消化を助ける薬)
- 抗菌薬(細菌感染が原因の場合)
- その他、原因に応じた薬物療法
- 食事療法
- 消化の良い食事のアドバイス
- 食物アレルギーや不耐症がある場合の食事指導
- 原因疾患の治療
- 慢性の病気が原因の場合は、その疾患に対する適切な治療
当院では、患者さんの生活スタイルや体質も考慮した総合的な治療を心がけています。症状が長引く場合は、専門医療機関と連携し、適切な診療を提供します。
家庭でできる下痢の対処法
軽度の下痢の場合、以下のような対処法を試してみてください:
1. 水分補給
下痢で失われた水分と電解質を補給することが最も重要です。
- 経口補水液(OS-1など市販のもの、または家庭で作る場合は水1リットルに食塩3g、砂糖20〜40gを溶かしたもの)
- スポーツドリンク(糖分が多いため、水で2倍程度に薄めると良い)
- ミネラルウォーター
- 温かい緑茶や麦茶
- スープ(塩分控えめのもの)
大量に一度に飲むと腸に負担がかかるため、少量ずつこまめに摂取しましょう。
2. 食事の工夫
- 下痢の初期は胃腸を休ませるために絶食も効果的(水分は必ず摂る)
- 回復期には消化の良い食事を少量ずつ
- おすすめの食品:おかゆ、うどん、パン、バナナ、リンゴ(すりおろし)、ジャガイモ(マッシュ)、白身魚の煮物など
- 避けるべき食品:脂っこいもの、刺激物(香辛料など)、乳製品、生もの、アルコール、カフェイン
3. 安静にする
- 体力を消耗しないよう、十分な休息をとる
- 腹部を冷やさないようにする
- ストレスを避ける
4. 衛生管理
- こまめな手洗い(特にトイレの後、食事の前)
- トイレの清潔維持
- タオルの共用を避ける
5. 市販薬の利用
- 整腸剤(乳酸菌製剤など)
- 吸着剤(タンニン酸アルブミンなど)
- 止痢薬(ロペラミドなど)
※市販薬を使用する際は、用法・用量を守り、症状が改善しない場合は当院にお越しください。特に血便や発熱を伴う場合は、市販薬の使用前にご相談ください。
子どもの下痢について
子どもは大人よりも下痢になりやすく、また脱水症状が進行しやすいため、特に注意が必要です。
子どもの下痢の特徴
- ウイルス性胃腸炎(ロタウイルス、ノロウイルスなど)が最も多い原因
- 食べ過ぎや食物アレルギーでも起こりやすい
- 乳幼児では乳糖不耐症が一時的に起こることもある
- 学校や保育園での集団感染が起こりやすい
子どもの下痢で受診すべき症状
- 脱水症状がある(口が乾いている、尿が減る、元気がない、涙が出ないなど)
- 38℃以上の発熱がある
- 血便がある
- 強い腹痛がある
- 嘔吐を繰り返す
- 3日以上下痢が続く
- 乳児(特に3ヶ月未満)の下痢
子どもの下痢の家庭での対処法
- 脱水を防ぐために、経口補水液を少量ずつ頻繁に与える
- 母乳やミルクは通常通り与えてよい(特に指示がない限り)
- 離乳食を始めている場合は、消化の良いものを少量ずつ
- おむつかぶれを防ぐため、こまめに交換し、清潔に保つ
- 手洗いを徹底し、家族内感染を防止する
高齢者の下痢について
高齢者の下痢は若い方と比べて原因が異なることがあり、また脱水や合併症のリスクが高いため、特別な配慮が必要です。
高齢者の下痢の特徴
- 薬の副作用が原因となることが多い
- 腸の機能低下による症状が現れやすい
- 基礎疾患(糖尿病など)の影響を受けやすい
- 認知症の方では症状をうまく伝えられないことがある
高齢者の下痢で注意すべき点
- 脱水が急速に進行することがある
- 電解質異常を起こしやすい
- 複数の薬を服用している場合、薬の相互作用に注意
- 基礎疾患がある場合、その悪化のサインかもしれない
高齢者の下痢の対処法
- こまめな水分補給(経口補水液が望ましい)
- 食事は消化の良いものを少量ずつ
- 服用中の薬について医師に相談
- 症状が24時間以上続く場合は必ず受診
まとめ
下痢は様々な原因で起こる症状であり、多くの場合は一時的なものですが、時に重篤な疾患のサインである場合もあります。症状が長引く場合や、危険なサインを伴う場合は、当院へご相談ください。
当院では、患者さん一人ひとりの症状や状態に合わせた適切な診療を提供し、早期回復のためのサポートをいたします。また、院内感染防止対策も徹底しており、安心して受診いただける環境を整えています。