便秘とは排便の回数が少なくなったり、便が硬くなって排便が困難になる状態を指します。一般的には3日以上排便がない場合や、排便時に強いいきみや腹痛を伴う場合、排便後も残便感が続く場合などが便秘と考えられます。このページでは、便秘の主な原因や症状、当院を受診する目安などについてご紹介します。
便秘の主な原因
便秘にはさまざまな原因があります。主な原因の例は、以下です。
生活習慣による原因
- 食物繊維の摂取不足
- 水分摂取の不足
- 運動不足
- 不規則な生活リズム
- トイレを我慢する習慣
- ストレス
身体的要因
- 腸の蠕動運動の低下
- 腹筋の筋力低下
- 加齢による消化機能の低下
- 女性ホルモンの変化(妊娠中や月経前など)
- 肛門の疾患(痔など)
疾患に関連する原因
- 過敏性腸症候群(IBS)
- 直腸・結腸の器質的疾患
- 甲状腺機能低下症
- 糖尿病
- パーキンソン病
- 脳卒中後の合併症
薬剤性の原因
- 鎮痛剤(特にオピオイド系)
- 鉄剤
- 抗うつ薬
- 抗ヒスタミン薬
- 降圧剤の一部
- カルシウム製剤
便秘の種類
便秘は主に以下の3つのタイプに分類されます。
1. 弛緩性便秘(機能性便秘)
最も一般的なタイプで、腸の筋力低下や蠕動運動の減少により便の移動が遅くなるものです。高齢者や運動不足の方、長期臥床の方に多く見られます。
2. けいれん性便秘
腸の一部が過敏になり、不規則な収縮が起こることで便の通過が妨げられるタイプです。ストレスや過敏性腸症候群(IBS)の方に多く見られます。腹痛を伴うことが特徴です。
3. 直腸性便秘(排出障害)
直腸に便が溜まっているにもかかわらず、うまく排出できないタイプです。直腸の感覚低下や骨盤底筋の協調運動障害などが原因となります。
便秘による症状・合併症

便秘が続くと、様々な症状や合併症が現れることがあります。
主な症状
- 腹部膨満感
- 腹痛
- 食欲不振
- 吐き気
- 頭痛
- 倦怠感
- 集中力の低下
- イライラ感
<合併症
- 痔(いぼ痔、切れ痔)
- 肛門裂傷
- 憩室症
- 腸閉塞(まれ)
- 腸管穿孔(非常にまれ)
当院を受診する目安
以下のような症状がある場合は、当院の受診をおすすめします。
- 生活習慣の改善や市販薬を試しても便秘が改善しない
- 急に便秘になった(特に50歳以上の方)
- 便秘と下痢を繰り返す
- 便に血液が混じる
- 激しい腹痛を伴う
- 原因不明の体重減少がある
- 便が細い
- 発熱を伴う
- 家族に大腸がんの既往がある
当院での便秘の診療について

当院では、患者さん一人ひとりの便秘の原因を詳しく調査し、最適な治療方針を提案しています。幅広い治療に対応しており、患者さんのニーズに合わせた診療を行っています。
診療の流れ
- 問診と診察:症状の経過、生活習慣、食事内容、服用中の薬などを詳しくお聞きし、身体診察を行います。
- 必要に応じた検査:症状や診察所見に応じて、以下のような検査を行うことがあります。
- 血液検査(甲状腺機能、電解質、炎症反応など)
- 腹部超音波検査
- 腹部X線検査
- 大腸内視鏡検査(必要に応じて)
- 診断と治療方針の説明:検査結果と診察所見に基づいた診断と治療方針をわかりやすくご説明します。
- 治療:原因や症状に応じた適切な治療を行います。
主な治療法
便秘の原因や種類に応じて、以下のような治療を行います。
- 生活習慣の改善指導
- 食事療法(食物繊維の摂取増加、水分摂取の増加など)
- 運動療法(適度な有酸素運動の推奨)
- 排便習慣の改善(朝食後のトイレ習慣など)
- ストレス管理
- 薬物療法
- 酸化マグネシウム(便を柔らかくする)
- 刺激性下剤(腸の蠕動運動を促進)
- 浸透圧性下剤(便中の水分量を増やす)
- 膨張性下剤(便のかさを増やす)
- 消化管運動機能改善薬
- プロバイオティクス(整腸剤等)
- 非薬物療法
- 温熱療法(腹部の温罨法など)
- 腹部マッサージ
- 重症例や特殊なケースへの対応
- 難治性便秘に対する専門的治療
- 器質的疾患の治療
- 外科的治療(必要に応じて)
当院では、薬物療法に頼るだけでなく、根本的な原因を改善するための総合的なアプローチを心がけています。高齢者の方や妊婦の方、お子さんの便秘にも対応しています。
特定の対象者の便秘について
妊婦の便秘
妊娠中は女性ホルモンの変化や子宮の拡大による圧迫などにより便秘になりやすくなります。
- 安全な対策:食物繊維の摂取、水分補給、軽い運動(ウォーキングなど)
- 注意点:強い刺激性下剤は避け、医師に相談してから薬を使用すること
- 受診の目安:腹痛が強い、出血がある、症状が長引く場合
高齢者の便秘
加齢に伴う腸機能の低下、運動量の減少、薬の副作用などが原因となります。
- 対策:水分と食物繊維の摂取、可能な範囲での軽い運動、規則正しい生活
- 注意点:急な便秘は腸閉塞などの重篤な疾患の可能性もあるため注意
子どもの便秘
食生活の偏り、トイレトレーニング時の心理的ストレスなどが原因となることがあります。
- 対策:バランスの良い食事、水分補給、排便習慣の確立、リラックスできるトイレ環境
- 注意点:痛みを恐れて排便を我慢する悪循環に陥りやすい
- 受診の目安:腹部の膨満が著しい、成長発達に影響がある場合
まとめ
便秘は多くの方が経験する一般的な症状ですが、適切な生活習慣の改善と必要に応じた医療的介入によって改善が期待できます。長期間続く便秘や、急に症状が変化した場合は、当院へご相談ください。
当院では、患者さん一人ひとりの症状や生活背景に合わせた総合的な診療を提供しています。便秘でお悩みの際は、お気軽に当院までご相談ください。