高尿酸血症

高尿酸血症は、血液中の尿酸値が正常値を超えて高くなる状態で、痛風の前段階として位置づけられる重要な疾患です。健康診断で尿酸値の異常を指摘される方が増加しており、現代の食生活や生活習慣の変化と密接に関連しています。

多くの場合、症状がないまま進行する「サイレント疾患」ですが、放置すると痛風発作だけでなく、腎機能障害や心血管疾患のリスクも高まることが知られています。一方で、適切な治療と生活習慣の改善により、十分にコントロール可能な疾患でもあります。

高尿酸血症とは

尿酸と正常値

尿酸は、細胞の新陳代謝や食物中のプリン体が分解される際に生成される代謝産物です。血清尿酸値の正常範囲は男性で3.8-7.0mg/dL、女性で2.4-5.8mg/dLとされ、7.0mg/dLを超えると高尿酸血症と診断されます。

高尿酸血症は圧倒的に男性に多く、特に30代から50代の働き盛りの男性によくみられます。女性では閉経前は女性ホルモンの作用により尿酸値が低く保たれますが、閉経後は上昇する傾向があります。

分類と特徴

高尿酸血症は、尿酸の産生過剰型、排泄低下型、混合型に分類されます。日本人では排泄低下型が約60%を占め、病型により治療薬の選択が異なるため、正確な診断が重要です。

遺伝的素因も重要で、家族に痛風や高尿酸血症の既往がある方はリスクが高くなります。また、肥満、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病を合併することも多い特徴です。

原因について

食事因子

プリン体を多く含む食品の過剰摂取は、尿酸値上昇の重要な原因です。レバー、腎臓、魚卵、干し椎茸、煮干しなどは特にプリン体含有量が多い食品です。

アルコール、特にビールはプリン体含有量が多いだけでなく、アルコール自体が尿酸の産生を促進し、排泄を阻害するため、尿酸値上昇の大きな要因となります。果糖を多く含む清涼飲料水の過剰摂取も問題となっています。

生活習慣要因

肥満は高尿酸血症の重要な危険因子で、内臓脂肪の蓄積により尿酸の産生が増加し、排泄が低下します。運動不足も問題で、適度な有酸素運動は尿酸値の改善に効果的ですが、激しい無酸素運動は逆に尿酸値を上昇させることがあります。

また、利尿薬、低用量アスピリン、抗結核薬などの薬剤も尿酸値を上昇させることがあり、これらの薬剤を使用している場合は定期的な監視が必要です。

症状と合併症について

無症状期から痛風発作へ

高尿酸血症の多くは無症状で経過し、健康診断で初めて発見されることが多くあります。この無症状期こそが治療介入の重要な時期で、適切な管理により痛風発作や合併症の発症を予防できます。

高尿酸血症が進行すると、関節内に尿酸塩結晶が沈着し、これに対する炎症反応として痛風発作が起こります。典型的には足の親指の付け根に激痛が生じ、歩行困難となります。

腎機能と心血管への影響

高尿酸血症は慢性腎臓病の独立した危険因子とされています。尿酸塩が腎臓に沈着することで腎機能が徐々に低下し、また尿路に尿酸結石を形成することもあります。

近年の研究により、高尿酸血症は心血管疾患の独立した危険因子であることが明らかになっています。動脈硬化の進行を促進し、心筋梗塞や脳卒中のリスクを高めることが知られています。

診断について

高尿酸血症の診断は、血清尿酸値の測定により行われます。測定は朝食前の空腹時に行うのが理想的で、7.0mg/dLを超えた場合に診断されます。ただし、1回の測定だけでなく、複数回の測定により持続的な高値を確認することが重要です。

治療方針を決定するため、尿酸の産生過剰型か排泄低下型かを判定します。また、腎機能評価や心血管リスクの評価として、血圧、血糖、脂質などの測定も重要です。

治療について

生活習慣の改善

高尿酸血症の治療は、まず生活習慣の改善から始まります。食事療法では、プリン体の多い食品の制限、アルコール摂取量の減少、適切な水分摂取が基本となります。

肥満の改善も重要で、体重減少により尿酸値の低下が期待できます。ただし、急激な減量は逆効果となることがあるため、月1-2kgの緩やかな減量を目指します。適度な有酸素運動は尿酸値の改善に効果的です。

薬物療法

無症状の高尿酸血症でも、尿酸値が9.0mg/dL以上の場合や、8.0mg/dL以上で腎障害、尿路結石、高血圧、糖尿病などの合併症がある場合は薬物療法の適応となります。

痛風発作の既往がある場合は、尿酸値6.0mg/dL未満を目標として薬物療法を開始します。尿酸降下薬には、産生を抑制する薬剤と排泄を促進する薬剤があり、病型や腎機能を考慮して適切な薬剤を選択します。

予防について

バランスの取れた食事を心がけ、プリン体の多い食品は適量に留めます。水分摂取を増やすことで尿量を確保し、尿酸の排泄を促進します。1日2リットル以上の水分摂取が推奨されます。

適正体重の維持は高尿酸血症の予防と改善に重要です。定期的な有酸素運動は尿酸値の改善だけでなく、他の生活習慣病の予防にも効果的で、週3回以上、30分程度の運動を継続することが推奨されます。

当院での対応

総合的な評価と管理

当院では、高尿酸血症の患者さんに対して、尿酸値だけでなく他の生活習慣病も含めた総合的な評価を行います。個々の患者さんのリスクプロファイルに応じた治療方針を立て、定期的な血液検査により治療効果を監視します。

患者さんのライフスタイルや嗜好を考慮した実践的な生活指導を提供し、食事内容の具体的なアドバイスや、継続可能な運動プログラムの提案を行います。

長期管理とサポート

高尿酸血症は長期間の管理が必要な疾患です。定期的な診察により、治療継続をサポートし、症状や検査値の変化に応じて治療方針を調整いたします。

薬物療法が必要な場合は、副作用に注意しながら適切な薬剤を選択し、目標値の達成まで段階的に治療を進めます。患者さんの理解と協力を得ながら、継続可能な治療を提供いたします。

まとめ

高尿酸血症は症状がないまま進行する疾患ですが、適切な治療により痛風発作や合併症の発症を予防できます。生活習慣の改善と必要に応じた薬物療法により、良好なコントロールが可能です。

健康診断で尿酸値の異常を指摘された場合や、痛風の家族歴がある方は、症状がなくても早めに当院にご相談ください。当クリニックでは、高尿酸血症の診断から治療、長期管理まで総合的にサポートいたします。

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