食道静脈瘤

食道静脈瘤は、食道の壁にある静脈が異常に拡張・蛇行した状態を指します。これは主に肝硬変などの肝臓疾患によって引き起こされる合併症の一つです。このページでは、食道静脈瘤の特徴および原因、症状、当院における診断法などをご紹介します。

食道静脈瘤ができる経緯

通常、血液は門脈と呼ばれる血管を通って腸から肝臓へと流れますが、肝硬変などで肝臓に障害があると、門脈の血液の流れが阻害されて圧力(門脈圧)が上昇します。この高い圧力を逃がすために、血液は食道などの側副血行路を通るようになり、その結果、食道の静脈が拡張して瘤(こぶ)状になるのです。

食道静脈瘤の最も危険な合併症は、破裂による出血です。破裂すると大量の血液を吐いたり(吐血)、黒色の便が出たり(下血)することがあるため、適切な治療が行われなければ命にかかわる危険な状態になることもあります。

日本では肝硬変患者の約50~60%に食道静脈瘤が見られるとされています。肝疾患の進行度合いによってリスクは異なりますが、肝硬変患者さんにとって注意すべき重要な合併症のひとつです。

食道静脈瘤の原因

食道静脈瘤の主な原因は以下の通りです。

1. 肝硬変

肝硬変は、食道静脈瘤のもっとも一般的な原因です。肝硬変では肝臓の線維化により血液の流れが阻害され、門脈圧が上昇します。肝硬変は以下のような原因で起こります。

2. 門脈血栓症

門脈に血栓ができることで血流が阻害され、門脈圧が上昇します。

3. 肝外門脈閉塞症

門脈が肝臓の外側で閉塞することにより引き起こされます。

4. バッド・キアリ症候群

肝静脈の閉塞により肝臓からの血液の流出が阻害される疾患です。

食道静脈瘤の症状

食道静脈瘤そのものは、破裂するまで症状がないことが多く、「沈黙の合併症」とも呼ばれています。しかし、以下のような症状が現れたら要注意です。

未破裂時(通常は無症状)

破裂時の症状

食道静脈瘤の破裂は緊急事態です。上記の症状がある場合は、すぐに救急車を呼ぶか、近くの救急医療機関を受診してください。

食道静脈瘤の診断方法

以下の検査を通じて食道静脈瘤の診断を行います。

1. 上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)

食道静脈瘤の診断に最も重要な検査です。内視鏡を使って食道内を直接観察し、静脈瘤の有無、大きさ、形状、赤色調変化(出血のリスクを示す赤い斑点)などを評価します。この検査により、静脈瘤の出血リスクを判断することができます。

2. 血液検査

肝機能検査、血小板数、凝固機能などを調べます。肝硬変の程度や重症度を評価するのに役立ちます。

3. 画像検査

これらの検査により、食道静脈瘤の程度だけでなく、基礎疾患である肝疾患の状態も総合的に評価します。

食道静脈瘤の治療

食道静脈瘤の治療は、出血の有無やリスク、背景にある肝疾患の状態などによって異なります。当院では患者さん一人ひとりの状態に合わせた治療方針をご提案します。

1. 未出血の食道静脈瘤への対応

出血のリスクが高い静脈瘤(大きな静脈瘤や赤色調変化を伴うもの)に対しては、予防的治療を検討します。

2. 出血している食道静脈瘤への対応

出血している場合は緊急処置が必要です。当院では初期対応を行い、必要に応じて高次医療機関と連携して以下の治療を提供します。

3. 基礎疾患への対応

食道静脈瘤の根本的な治療には、原因となっている肝疾患の管理が不可欠です。

4. フォローアップ

食道静脈瘤の治療後は、定期的な内視鏡検査や血液検査を行い、再発や悪化がないかを確認します。治療後も3~6ヶ月ごとの経過観察が重要です。

食道静脈瘤の予防と自己管理

食道静脈瘤のある方や肝疾患をお持ちの方は、以下の点に注意して生活することが大切です。

1. 適切な肝臓管理

2. 生活習慣の改善

3. 注意すべき症状

以下の症状が現れたら早めに受診してください:

4. 医療者との連携

当院をおすすめする患者さん

以下のような方は、当院への受診をお勧めします。

まとめ

食道静脈瘤は、主に肝硬変など肝疾患に伴って発生する重要な合併症です。破裂すると大量出血を引き起こす可能性があるため、早期発見と適切な治療・管理が非常に重要です。

当院では、最新の内視鏡技術を用いた診断と治療を提供し、患者さん一人ひとりの状態に合わせた最適な治療計画をご提案します。また、基礎疾患である肝疾患の管理も並行して行い、食道静脈瘤の再発予防にも力を入れています。

食道静脈瘤は適切な管理によって破裂のリスクを低減できる疾患です。不安や疑問がある方は、ぜひ当院にご相談ください。

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