十二指腸潰瘍は、胃の出口から続く小腸の最初の部分である十二指腸の粘膜に深い傷(潰瘍)ができる疾患です。十二指腸の壁は胃壁に比べて筋層が薄いため、潰瘍が深く進行すると出血や穿孔(十二指腸に穴が開く状態)を起こしやすい特徴があります。このページでは、十二指腸潰瘍の主な症状や原因、当院における診断方法などをご紹介します。
十二指腸潰瘍の主な症状
十二指腸潰瘍のもっとも特徴的な症状は上腹部痛です。特に以下のような特徴があります。
- 胃潰瘍の痛みが食後3~4時間で起こるのに対し、十二指腸潰瘍の痛みは空腹時に起こるのが特徴です。すなわち午後5~6時ごろや深夜に、毎日のように襲ってくる疼痛が特徴的です
- 右上腹部や背中あたりに痛みを感じます(十二指腸は背中側に位置するため)
- 十二指腸潰瘍では空腹時に痛くなり、食事をすると症状が緩和することが多いです
その他の症状は、以下です。
- 胸やけや胃もたれ
- 吐き気やおう吐
- げっぷ
- 食欲不振
- 出血がある場合は吐血や黒色便(タール便)
- 貧血症状(めまい、倦怠感など)
重症化すると以下のような合併症を起こすことがあります。
- 出血
- 穿孔(十二指腸に穴が開く)
- 狭窄(十二指腸が狭くなる)
十二指腸潰瘍の原因とリスク因子

十二指腸潰瘍の主な原因としては以下が挙げられます。
- ヘリコバクターピロリ菌の感染(圧倒的に多いとされています)
- 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の使用:痛みや炎症を抑えるために使用される薬です。長期間使用することによって胃や十二指腸の粘膜を傷つけ、潰瘍を引き起こすことがあります
- 過剰な胃酸分泌:胃酸が過剰に分泌されることで胃や十二指腸の粘膜が傷つき、潰瘍を引き起こすことがあります
- 過度なストレス
- アルコールや喫煙
十二指腸潰瘍の主な診断方法
十二指腸潰瘍の診断には、主に以下の検査が用いられます。
- 問診と身体診察:症状や既往歴、服薬歴などの詳細な聞き取りを行います。
- 内視鏡検査(胃カメラ):上部消化管内視鏡検査(食道・胃・十二指腸を連続して検査できる内視鏡)で、十二指腸潰瘍であればほとんどの場合、胃の出口直後の胃酸が直接当たる十二指腸球部前壁に潰瘍病変を容易に見つけることができます。また、組織検査(生検)でピロリ菌の有無も調べることができます。
- 上部消化管X線造影検査(バリウム検査):バリウムを服用した上でレントゲンで胃や十二指腸の状態を確認します。
- 血液検査:貧血の有無や炎症反応、ピロリ菌抗体などを調べます。
- ピロリ菌検査:尿素呼気試験、便中抗原検査、血清抗体検査などがあります。
当院での診療について

当院では、十二指腸潰瘍に対して以下のような診療を行っています。
- 丁寧な問診と診察:症状の詳細や生活習慣、服薬状況などを詳しくうかがい、的確な診断につなげます。
- 最新の内視鏡機器による検査:苦痛の少ない胃カメラ検査を実施し、十二指腸潰瘍の有無や程度を正確に診断します。必要に応じてピロリ菌検査も同時に行います。
- エビデンスに基づいた治療:患者さん一人ひとりの状態に合わせた最適な治療計画を立案し、効果的な薬物療法を提供します。
- ピロリ菌除菌治療:ピロリ菌感染が確認された場合は、保険適用の除菌治療を行います。
- 定期的なフォローアップ:治療経過を確認するための定期的な診察や検査を行い、再発防止に努めます。
日常生活での注意点と予防
十二指腸潰瘍を予防し、再発を防止するためには以下のような点に注意しましょう。
規則正しい食生活
- 一度に多量の食事を摂らず、少量ずつ規則正しく食べる
- 刺激物(香辛料の強い食品、酸性の強い食品など)を控える
- アルコールの過剰摂取を避ける
ストレス管理
- ストレスをためない生活習慣を心がける
- 十分な睡眠をとる
- リラクゼーション法を取り入れる
喫煙をやめる
- 喫煙は胃酸分泌を促進し、粘膜の防御機能を低下させます。
予防に関して、発症に密接な関係があるといわれているピロリ菌を除菌することが予防につながります。また規則正しい生活を送り、なるべくストレスをためない生活を心がけることも大切です。
薬の使用に注意
- NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)の長期使用を避ける
- 処方薬は医師の指示通りに服用する
定期的な健康診断
- 早期発見・早期治療のために定期的な健康診断を受けましょう。
十二指腸潰瘍の受診の目安
以下のような症状がある場合は、当院への受診をご検討ください。
- 数日間にわたって続く空腹時の腹痛を自覚した際は、消化器内科を受診しましょう
- みぞおちや上腹部の痛みが持続する
- 食欲不振や体重減少が見られる
- 黒い便(タール便)が出た
- 胸やけや胃もたれが頻繁に起こる
- 市販薬を使用しても症状が改善しない
特に、出血のサインである黒い便や吐血がある場合は緊急性が高いため、すぐに受診してください。
当院では、十二指腸潰瘍をはじめとする消化器疾患に対する専門的な診療を提供しています。症状でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。早期発見・早期治療が症状改善の鍵となります。