総胆管結石

総胆管結石は、肝臓と十二指腸を結ぶ総胆管内に結石が存在する疾患で、胆汁の流れを妨げることで黄疸や胆管炎などの重篤な合併症を引き起こす可能性があります。胆嚢結石が総胆管に落下することで発症することが多く、適切な診断と迅速な治療が必要な疾患です。

症状は胆嚢結石よりも重篤になることが多く、黄疸、発熱、腹痛などが主な症状として現れます。放置すると胆管炎から敗血症に至ることもあるため、早期診断と適切な治療により良好な経過が期待できる一方、緊急性を要する場合もある重要な疾患です。

総胆管結石とは

疾患の特徴

総胆管結石は、総胆管内に存在する結石で、胆汁の流れを障害することで様々な症状を引き起こします。胆嚢結石と異なり、総胆管結石は症状を呈することが多く、特に胆管の完全閉塞を来した場合は緊急性の高い状態となります。

結石の大きさは数ミリから数センチまで様々で、単発性のものから多発性のものまであります。結石の位置により症状の程度が異なり、総胆管下部(十二指腸乳頭部付近)に嵌頓した場合は特に重篤な症状を呈します。

発症のメカニズム

総胆管結石の多くは、胆嚢内で形成された結石が胆嚢管を通って総胆管に落下することで発症します(続発性総胆管結石)。一方、総胆管内で直接形成される原発性総胆管結石もありますが、これは比較的稀です。

結石が総胆管に嵌頓すると、胆汁の流出が障害され、肝臓内への胆汁の逆流(胆汁うっ滞)が生じます。これにより黄疸が出現し、細菌感染が加わると胆管炎を発症します。

症状について

Charcot三徴

総胆管結石の典型的な症状は、発熱、黄疸、右上腹部痛の3つで、これをCharcot三徴と呼びます。この3つの症状が揃った場合は、急性胆管炎の可能性が高く、緊急性の高い状態です。

ただし、すべての症状が揃うのは約50-70%の患者さんで、症状が軽微な場合や一部の症状のみの場合もあります。高齢者では典型的な症状を示さないことも多く、注意が必要です。

黄疸

総胆管結石による胆管閉塞により、ビリルビンが血液中に逆流して黄疸が出現します。皮膚や白眼が黄色くなり、尿の色も濃い茶色になります。

黄疸の程度は閉塞の程度により異なり、完全閉塞では急速に黄疸が進行します。また、便の色が白くなる(白色便)ことも特徴的な症状です。

腹痛

右上腹部から背中にかけての激しい痛みが特徴的です。痛みは持続性で、体位を変えても軽減しないことが多く、患者さんは非常に苦しい状態となります。

痛みの程度は結石の大きさや嵌頓の程度により異なりますが、多くの場合は激痛で、救急外来を受診する原因となります。

発熱と全身症状

胆管炎を合併した場合は、38度以上の高熱が出現します。悪寒戦慄を伴うことも多く、全身状態の悪化がみられます。

重篤な場合は、血圧低下、意識障害、ショック状態(Reynolds五徴)に至ることもあり、生命に関わる状態となります。

診断について

血液検査

総胆管結石の診断には、血液検査が重要な役割を果たします。胆管閉塞により、ビリルビン値(特に直接ビリルビン)、ALP(アルカリフォスファターゼ)、γ-GTPが上昇します。

胆管炎を合併している場合は、白血球数の増加、CRP上昇などの炎症反応がみられます。また、肝酵素(ALT、AST)の上昇も認められることがあります。

画像検査

腹部超音波検査では、総胆管の拡張と結石の存在を確認できます。総胆管径が8mm以上(高齢者では10mm以上)に拡張している場合は、胆管閉塞を疑います。

CT検査では、胆管の拡張や結石の確認が可能ですが、結石の描出率は超音波検査より劣ります。しかし、胆管炎の合併症評価には有用です。

MRCP検査

MRCP(MR胆管膵管撮影)は、非侵襲的に胆管系の詳細な評価が可能で、総胆管結石の診断において非常に有用です。結石の位置、大きさ、個数を正確に把握でき、治療方針の決定に重要な情報を提供します。

ERCP検査

ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)は、診断と治療を同時に行える検査です。胆管内に造影剤を注入して詳細な胆管像を得るとともに、結石除去術も可能です。

治療について

内視鏡的治療

総胆管結石の第一選択治療は、ERCPによる内視鏡的結石除去術です。十二指腸乳頭部を切開(乳頭括約筋切開術)した後、バスケットカテーテルやバルーンカテーテルを用いて結石を除去します。

結石が大きい場合は、機械的砕石術により結石を細かく砕いてから除去します。成功率は約90%以上と高く、開腹手術と比較して身体への負担が少ない治療法です。

外科的治療

内視鏡的治療が困難な場合や、解剖学的異常がある場合は、外科的治療が選択されます。現在では腹腔鏡下手術が主流で、総胆管切開結石除去術が行われます。

胆嚢結石を合併している場合は、同時に胆嚢摘出術も行われることが多くあります。

緊急時の対応

重篤な胆管炎を合併している場合は、緊急的な胆道ドレナージが必要です。ERCP下での胆管ステント留置や、経皮的胆道ドレナージにより胆汁の流出路を確保し、感染の制御を図ります。

合併症について

急性胆管炎

総胆管結石の最も重要な合併症は急性胆管炎です。胆管内圧の上昇と細菌感染により、重篤な感染症を引き起こします。治療が遅れると敗血症や多臓器不全に至ることがあります。

急性膵炎

総胆管結石が膵管の出口付近に嵌頓すると、膵液の流出障害により急性膵炎を発症することがあります。激しい腹痛と膵酵素の上昇がみられ、重症化すると生命に関わることもあります。

肝機能障害

長期間の胆管閉塞により、肝細胞の障害が進行し、肝機能低下を来すことがあります。また、胆汁性肝硬変に至ることもあります。

予防について

胆嚢結石の管理

総胆管結石の多くは胆嚢結石に由来するため、胆嚢結石がある場合は適切な管理が重要です。症状のある胆嚢結石では、早期の胆嚢摘出術により総胆管結石の発症を予防できます。

生活習慣の改善

胆石の予防と同様に、適切な食事療法、体重管理、規則正しい生活が重要です。高脂肪食を避け、食物繊維を多く含む食品を摂取することが推奨されます。

当院での対応

迅速な診断

当院では、総胆管結石が疑われる患者さんに対して、迅速な血液検査と画像検査により診断を行います。症状の重篤度を適切に評価し、緊急性の判断を行います。

腹部超音波検査により胆管の拡張や結石の存在を確認し、必要に応じてCT検査やMRCP検査の手配も行います。

適切な治療方針の決定

患者さんの症状、結石の大きさや位置、全身状態を総合的に評価し、最適な治療方針を決定いたします。内視鏡的治療が適応となる場合は、専門医療機関への紹介を迅速に行います。

緊急性が高い場合は、救急対応も含めて適切な医療機関との連携を図ります。

継続的な管理

治療後の経過観察も重要で、再発の有無や肝機能の回復状況を定期的に確認いたします。胆嚢結石の合併がある場合は、予防的治療についても検討いたします。

予防指導

総胆管結石の再発予防や、新たな胆石形成の予防について、具体的な生活指導を行います。食事療法、体重管理、定期検診の重要性について詳しくご説明いたします。

まとめ

総胆管結石は胆汁の流れを妨げ、黄疸や胆管炎などの重篤な合併症を引き起こす可能性がある疾患です。早期診断と適切な治療により良好な経過が期待できますが、重篤な場合は緊急性を要する疾患でもあります。黄疸、発熱、右上腹部痛などの症状がある場合、特にこれらの症状が組み合わさって現れた場合は、総胆管結石の可能性を考慮して速やかに当院にご相談ください。当院では、総胆管結石の迅速な診断から適切な治療方針の決定、専門医療機関との連携まで総合的にサポートいたします。

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